自分の世界の主人公達の話。

私は私の中に世界がある。多分、小さい子が1人で○○ごっこをするみたいな感じ。でも決して私は主人公ではない。私の世界の中に私のつくりあげた主人公がまた別にいて、その子の人生を私の中に作り上げる。妄想と言ってしまえばそうだ。別にその世界をみんなに共感して欲しいわけじゃない。ただ、私の中の主人公たちにも感情があって、ちゃんと生きている。だから私の中の主人公たちを勝手に動かさないで欲しい。勝手に消さないで欲しい。勝手に変えないで欲しい。そう思う。

自分が作りたいと言った作品は基本的に否定されてきた。高校の部活でもそうだった。今になればどうしても作りたいと言って作らせてもらえばよかった。大会に出したいと言って出させてもらいたかった。だけど私が企画をした時点でそれはボツになるか別のストーリーを語られた。私の中の子達はそんな人生歩んでいないのにとおもっても私は何も言えなかった。大人の権力には逆らえなかった。だから私の中の主人公たちは勝手に別の人生を歩まされたのだ。そして私の中でまだ誰も知らない別の人生を歩んでいるのだ。

高校を卒業する時、卒業制作を作った。なんの大会にも出さなければ短時間で作ったいわば自己満足だ。それでも後輩はみんな積極的に手伝ってくれたし「先輩の作る世界が好きです」と言ってくれる子も何人もいた。それが私は嬉しかった。と同時に、どこか報われたようなきがしていた。私の卒業制作は未完成のままだ。後輩が私の残した作品を編集してくれた。しかし明らかな編集ミスのある。そのままDVDへと焼き付けられ、元の編集データは消されてしまった。その未完成の卒業制作は、私の部屋にひっそりとある、私しか再生したことがない大事なDVDだ。そして一生の宝物だ。後輩が残った人生を完結させてくれた。それだけで幸せものだ。そしていつか、改めて同じ作品を撮りたい。今まで作ってきた作品たちを全部、撮り直したい。新しく人生をスタートさせてあげたい。一緒に生きてくれた感謝を込めて。