ゆっくり進む電車の話。

電車が好き。長い時間をかけてゆっくりどこかへ行ける。だから好きだ。あの揺れる感覚が好き。音が好き。眠くなるくらいの静かな空気感が好き。ボックス席で窓の外を眺めるのが1番好き。電車に乗るといろんな人と話す。いつも同じ電車に乗っているおじちゃんもいればたまたま乗り合わせたおばあちゃんもいる。今日はどこに行くの?何をするの?学校にいくの?遊びに行くの?いろんな事を聞かれる。そして色んな話も聞く。子供や孫の話、昔していた仕事の話、今後の予定の話。沢山話しをして、仲良くなって、それっきり会うことの無い人がほとんど。それでもその出会いを大事にする。忘れられても、忘れても。

環状線に一日中乗っていたい。ぐるぐるぐるぐる回り続けたい。遠くへ言っても戻ってこないといけない。だけど環状線はそのまま乗っていればまた元に戻る。帰れない心配もない。だからずっと乗っていたい。眠っても知らない駅に降ろされることも無い。時間も気にせずに、あのガタンゴトンという音を聞きながら眠りたい。もうそろそろ帰ろうかなぁ。そう思ってやっと、ホームに降りる。そういうことをしたい。気の向くまま、赴くまま。