行き先になにがありますか?

 

真っ白な紙の上に必死に何かを書こうとしました。だけど私には何も書くことができなかったのです。書きたいことは山ほどあるのに、伝え方がわからなかったのです。無理もないのです。伝えたことがないのですから。誰かを真似ようとして、真似出来なくて、真似てもそれは自分じゃないと思って、また何もかけなくなったのです。

 

書いては消して、書いては消して、誰かが否定した訳では無いのに否定された気持ちになった。

否定をしたのは誰でもない、自分のくせに。

 

 

今日も私は真っ白な紙の上に寝転がって、何も出来ないまま。

白。

あの頃の私じゃないと考えられなかったことがある。思いとか、感覚とか、色んなこと。たった数年前のことなのに思い出せなくなった。あの頃の私は何を感じていたのだろう。何を考えていたのだろう。どうやって生きていたのだろう。

あの頃しか見られなかった物を私はどこに置いてきてしまったのだろう。もう戻れはしないあの日々に縋るように、私は真っ白な紙に筆を落とす。

なにも、かけなくなった。

皮肉と他人と自分と他人と。

大事にされるよりも必要とされたいと思う。

自分の存在価値はないんだなと思って皮肉を口にした。私はいなくてもいいんだ。私は私が嫌いだ。必要なんて思わない。そこまではいわなかったけど、私は私が嫌いだといった。私を必要としない人に話をした。すると急に私を褒めた。あたかも過去なんてなかったかのように嫌になるほど私を褒めだした。何度も何度も。褒められたことなんて1度もなかったのに。私が嫌だと口にした途端、もっと嫌になるくらいに褒められた。素直に受け止めることなんて出来なかった。ただただ私は惨めになった。作り笑いをした。昔の話。馬鹿みたいな話だ。

 

私が欲しかったのはそんなものじゃない。

私が何も言わなくても、

私が弱音を吐かなくても、

私を認めて欲しかった。

私を必要として欲しかった。

 

そんな思い出の中で生きて、そんな思い出と共に生きて、私は今でも自分を好きになれないままだ。

思いを伝えて全てをなくして。

壊したい訳じゃなくて

変えたくて

変わりたくて

変わって欲しくて

言葉を吐いて

泣いて

呆れられて

泣いて

苦しくて

泣いて

泣いて

泣いて

笑ってと言われて

笑って

泣いて

変われなくて

泣いた。

 

青い春に息をして、

制服というのは自分を学生であると自覚させてくれるものだった。わたしはまだ子供であると見せびらかして、責任から逃げるように私はあのスカートを揺らしブラウスに袖を通していた。私は制服に守られていた。高校の卒業式の後、この今身についている制服を脱いでしまうと私は二度と高校生である私には会えないのだと思って脱げなかった。魔法が解けてしまう瞬間を怯えるシンデレラのように、ただ怖くて仕方がなかった。高校生ではない私は何も無いただの1人になってしまう。世間の中に放り出され、膨大な海の中を1人で泳ぎ続けろと言われるように感じた。孤独で仕方がなかった。もう誰も私を必要としないような気がした。大袈裟だと笑われるかもしれない。でも私はそれくらいに悲しかったのだ。ただ、苦しかったのだ。

あと少しという少しでもない言葉を沢山聞いてきた。

あと少し。

 

その言葉にどれだけ苦しめられてきただろう。少しなんて気の所為だ。あと少し、なんて誰かがわざと希望を持たせるためについた嘘なのだ。あと少し頑張ったらきっとあなたは報われる。そう人事のように言うのだ。そのあと少しがどれだけ重く痛々しいのかを知らないくせに。

あと少しであなたは何かを得られたと言われた時、確かに希望が見えた気がした。気がしただけだった。結局その、あと少しは私には訪れない幻となったのだ。あと少しだったのはあのたった一瞬だけで、あとはもう無駄だったのかもしれない。

幸せをつかまえて、飲み込んだ。

幸せになりたいと口にする。生きていると正解がわからなくなる。そしていつも自分の生きている方向は間違いなんじゃないかと思う。そして勝手に悲しくなって、勝手に泣いてしまう。今の私が幸せなのかも分からない。分からないから勝手に自分は不幸だと思う。自分は幸せだと思うと、簡単に不幸を感じてしまう気がするから。些細なことで自分を不幸だと思うことが悲しいから。自分は不幸だと思って生きることがいいとは決した思わないけれど。

ため息は幸せを逃がすという。逃がしてしまった幸せはどこからやって来るんですか?どうして失う方法は知っているのに、得る方法は教えてくれないんですか?